投稿日時:2015年1月21日
平成27年1月15日
秦野市平沢182-1
海平金属 株式会社
お客様各位
毎々大変お世話になっております。
早速ですが、直近のスクラップ市況概況をお知らせいたしますので、ご参考に供して戴ければ幸甚です。
1.鉄スクラップ
昨年9月後半より値下がりに転じた鉄スクラップですが、円安環境にもかかわらず、年末にかけ国際相場の下落、韓国の需要減等により値下がりが続き、国内相場はピーク比8000円/トンの値下げとなりました。年明け後も相場は低迷しており、特に中部、関西地区での下げ先行が目立ちます。
最大手東京製鉄は主力の田原工場ですでに年初より3回、1500円/トンの値下げを発表し、周辺メーカーも追従、鉄スクラップ相場は珍しく東高西低となっております。
1月14日に行われた関東鉄源協同組合の入札価格は指標となるH2ベースで26,575円/トン(前月比2595円の下げ)、同日の関西鉄源連合会の入札価格は25300円/トン(前月比2210円下げ)とさらに安く、先行きも弱含みの展開が続く模様です。
昨年12月に東京製鉄は岡山工場の大型電炉2基のうち1基(150トン直流炉)の停止を発表、また、韓国大手の東部製鉄が3月にて電気炉を停止することを発表するなど、鉄スクラップの需給に関しては暗い話題が続いております。
ご存じのとおり、鉄鉱石も大幅に値下がりし、70ドル/トンを挟んだ攻防となっており、スクラップに限らず鉄鋼全般に暗雲が立ち込めている年明けとなりました。
明るい材料としては、ここ数日で米国のスクラップが品種により若干の値上がりがあった事と、関東地方では昨年契約分の輸出配船が1~2月にかけて入港するため、需給に余剰感が少ないこと等があげられますが、当面は弱含みの相場が続きそうです。
関東地区メーカー購入価格(手形ベース)
H2 25500~26500円
新断屑26500~27500円
2.アルミスクラップ
非鉄金属全般の値下がりを受け、一時は2000ドル台に達したアルミ国際市場は、年初より1800ドルを割り込み、引き続き弱含みの状況となっております。国内スクラップ相場は円安のおかげで多少救われておりますが、1月前半5~10円下げ、後半さらに5~10円以上の下げが見込まれております。主力ユーザーである2次合金メーカーは、昨年末ようやく製品販売価格の値戻しを達成したため、あまりスクラップの価格をドラスティックに下げたくない意向といわれておりますが、アルミ新地金が大きく下がっている現状では、スクラップの購買量を減らし、代わりに輸入地金の手当てを増やす方向に進まざるを得ない模様です。特に一昨年よりブームとなったアルミ缶スクラップ価格は新地金との連動となりますので、自治体の入札等での異常な高値はこれから収束に向かうと思われます。
当面アルミスクラップは値下がりとなる模様です。
3.ステンレススクラップ
ニッケル相場も値下がり傾向が続いており、LME相場は15000ドル割れが一般化し、連れて主要製品であるステンレス鋼材も値下がりしております。世界的な特殊鋼の生産過剰により、特にスクラップの需要が世界的に低迷しており、売り先を求めて、世界中の特殊鋼メーカーに大量のオファーが流れているようです。
ステンレス専業筋は売り先難のため、高値在庫を抱えてかなり厳しい状況に置かれていると伝えられており、今後ステンレススクラップ業界も淘汰の波が押し寄せるのではないか、と言われております。
すでにクローム系スクラップは売り先が非常に狭まっており、鉄スクラップ並みの価格に落ち込んでおりますが、SUS304等のニッケル系ステンレススクラップも値下がりが避けられない状況となっております。
4.銅スクラップ
非鉄金属の代表格である銅は、あらゆる意味で注目を浴びている金属です。過去10年近く続いた資源バブルも銅が主人公であり、一般の方にまで「銅は高い」という認識が浸透し、電線などの盗難が相次ぐなど、非常にメジャーな金属となりました。今回の非鉄金属全般の値下がりも銅が主導となり、1月13日には下値抵抗線である6000ドルをあっさりと割り込み、国内電気銅建値は12月末の830円/kgから740円に改定されました。スクラップの需要は相変わらず低迷しており、特に上級屑の売り先難が目立ちます。各伸銅メーカーとも定期契約分以外は購入しない、というスタンスを続けており、余ったスクラップが精錬メーカーに殺到し、どのメーカーも在庫が満杯となっている模様です。
理論的に国内精錬メーカーでは、6000ドルを割り込むと精錬コストが賄えなくなるといわれておりますが、原油の値下がりが急なため、精錬コストも下がっており、引き続き銅の国際相場は下落する可能性が高いと観測されております。
5.スクラップ屋のぼやき
新年早々値下がりの話ばかりで大変恐縮しております。しかしながら、この業界に長く身を置いている者の感覚としては、今のスクラップ相場はまだまだ「十分に高い」と思います。かつては、鉄スクラップを回収するためにお客様から費用をいただく「逆有償」の時代や、電気銅建値が200円/kg,などという時代もありました。ガソリンの価格も、昔はレギュラーで100円以下、軽油などは50円/リットルの時代もありましたので、長期的なスパンで考えますと、収まるべきところに収まるのかな、という風に思います。2004年より始まった資源バブルもちょうど10年を過ぎ、我々業界も、規模の拡大を目指すプレーヤーが増加しました。特に、スクラップの輸出が増えたことで、スクラップ品質の劣化や選別技術の軽視など、本来必要とされる仕事の本質がないがしろにされ、少し調子に乗りすぎていた感じがいたします。
もともとリサイクルは非常に地味な仕事であります。スクラップは売り先があって初めて商品となります。私共も原点に立ち返り、スクラップの品質や選別技術の向上に努め、お客様のお役にたてるよう頑張ってまいる所存です。
今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
神奈川県秦野市平沢182番地1
海平金属 株式会社
代表取締役 海平 永浩